古民家に代表される伝統構法で建てられた建築物は、その地域の文化・特性、先人の知恵が詰まった、地域の風土そのものといっても過言ではありません。しかしながら、戦後の日本の資本主義的観念や家族の在り方の変化など住環境を取り巻く様々な社会背景・構造の移り変わりの中で、生産的(経済的)効率性に劣り、空間としても社会的需要と合わなくなった伝統的建築物は淘汰され、日本の建築文化の主流から外れていきました。結果として、日本の建築はスクラップアンドビルドの流れに乗り、日本の経済成長・躍進を支える一方で、住宅寿命の低下(構造的にも経済的にも)や職人技術の低下を招き、さらには住宅供給を支えるために行われた拡大造林による山林の貧困化・荒廃、空き家の増加などの近年の地域衰退の一因ともなる悪循環を生み出しました。加えて、戦後制定された建築基準法に則った一般的な住宅の建て方(在来工法)と伝統構法とでは基本的な考え方が異なっていることも伝統構法の社会的認知の低下を招きました。

近年、地方に目が向けられるようになり、地域経済をはじめとした地域振興の取り組みが活発になってきた昨今、我々が地域の風土ともいえる古民家をはじめとした伝統的建築物に光を当て活用することは、地域の文化・歴史の再認識(誇り)へと繋がり、地域経済や地域環境保全の向上を促し、地域社会そのものを見直すことの一助になるはずです。

我々は建築基準法や現代生活を踏まえた上で伝統構法の良さを残すため、「再築基準」を定め、構造的側面だけでなく断熱・省エネにおいても、適正に伝統構法を評価し、改修することで、住み続けることは勿論、伝統的建築物に正当な評価・価値付けを行うことを目指しています。伝統的建築物を再築し、活用するための様々な活動を通して、未来の子ども達の為に持続可能な循環型建築社会を創造し、より良い地域になるようお手伝いさせて頂きます。

一般社団法人日本伝統再築士会熊本支部
代表理事 荒木 建一朗