総務省が公表した「平成25年住宅・土地統計調査」(5年に1度実施)の速報結果より、日本全土の住宅総数は6063万戸で5年前に比べ305万戸増加するとともに、空き家数も5年前に比べ63万戸増加の820万戸。(空き家率は13.5%で過去最高) 熊本県内においても、5年前に比べ住宅総数は3万5000戸増加の80万4000戸、空き家数も14.3%増の11万5000戸。実に約7戸に1戸が空家となっている状況です。また、「平成25年住宅・土地統計調査(総務省調べ)」(5年に1度実施)の速報結果より、日本の既存住宅の流通数は16.9万戸で、新築住宅98万戸に対してシェアが著しく低い状況です。 これには、日本の住宅政策が終戦直後の深刻な住宅難の解消を起源とし、その後は住宅政策が景気対策の意味合いも強く帯び、常に新築住宅の供給・取得が推進されてきたという経緯があります。しかし、住宅取引の7割から9割を既存住宅が占める欧米諸国に比べると住宅市場が異様なまでに新築住宅に依存していることが分かります。その他に、少子高齢化における人口構造や財政問題、環境問題や社会的価値観など、日本は「社会の変化」 にも直面しています。 この様な問題を抱える中、これまでのようなフロー重視の市場がもはや続けられないことは明らかであり、日本の住宅は市場重視、ストック重視への政策転換が図られてきています。 空き家対策、既存住宅の流通活性化を図るため住宅市場は新しく『造る』から『循環』へと変わっていきます。 熊本県内には、日本の文化と言える、先人の知恵が詰まった古民家(1965年以前の建物)が6万8000戸(県内にある住宅総数68万7000戸の1割程度)もあり、これらの住宅は最も価値ある循環資源です。ただ取り壊すのではなく、現代社会の生活スタイルとの融合や安全性を確保したうえで、これら古民家を有効活用し、住宅市場を循環型へと変化させるための活動をおこなってまいります。
一般社団法人日本伝統再築士会熊本支部
支部長 村田 智仁